家庭内で起きる無視の心理とは~夫から数か月無視をされます~

大切な人との
コミュニケーションギャップを断ち切る
アドラー心理学カウンセラーの田山 夢人です。

家庭内での無視

以前、こんなご相談をいただきました。

「夫から数か月にわたって無視をされます」

これだけ長期にわたると、さぞ精神的なつらさは計り知れないものになるだろうなと感じました。

当カウンセリングオフィスでは、「無視」についてのご相談もよく受けることがあります。

数ある「無視」のご相談の中でも、特に家庭内での無視の問題はなかなかに深刻なように感じます。

その理由としては、

①家族は基本的に必ず対面して関りがうまれうる人である
②これからも生活を共にしなければいけない可能性が高い
③心を許し自分にとっても大切な理解者の一人である可能性が高い

もちろん他の理由もあるでしょうが、主に以上のものになると感じています。

たまに起きる程度でしたらまだいいですが、

・何かあるたびにすぐ無視をする
・慢性的に無視が何度も繰り返されている
・いつも自分を責めてしまい精神的に限界が近い
・また無視されるのではないかと毎日ビクビクしている

などの状態にあるのであれば、一刻も早く対策を打ったほうがいいでしょう。

|なぜ無視がこんなにもつらいのか

まず、そもそもなぜ無視という行為がこんなにも心や体に影響するかについてのお話をしようと思います。

本来、動物というのは、1)自己を保存する2)種族を保存する、という二つの原則を持っています。ひとつめを詳しく言いますと、自分という存在を守り、治し、生き残ろうとすることです。生存本能ですね。ふたつめは子孫を繫栄させるとか、配偶者を守るとか、子どもを守るとかの類になります。

しかし、私たち人間は本来の動物が持つ原則と少し違う原則で生きているのです。

もちろん前述した原則も持っているのですが、人間の場合は二の次になります。私たち人間が一番に優先している原則とは、「集団を作り社会に所属をする」ということです。

なぜそういうことが言い切れるかと言いますと、人は自殺をするからです。

自殺という行為は、「1)自己を保存する」という原則から大きく外れた行為ですね。この原則が最優先なのであれば、人は自殺をすることはありません。

ではなぜ人は自殺をするのかと言えば、「所属」が叶わなかったからなのです。自分という存在はこの世界にとって必要ないんだな、価値がないんだなと、生きる意味がなくなってしまうと、人は自殺をしてしまいます。

他の動物は生き残るために鋭い牙や大きな筋力、長い鼻、並外れた嗅覚などの特殊な器官をもちます。しかし人間にはそのような器官はなく、生き残るために手段を考えなくてはいけませんでした。

その結果が、「集団を作り社会を作る」ということだったのです。

個の力ではなく、人と関わり仲間と共に生きることで生き残る選択を大昔に取りました。そうして発達していったのが脳であり、精神であり、言語でした。私たち人間が大きく発達した脳、精神、言語というのは、コミュニケーションを取るための道具として発達したのです。

ここで話ははじめに戻りますが、なぜ無視がこんなにもつらいのか。

それは、社会に所属するために「コミュニケーション」が取れず、社会から締め出されてしまった自分は「生きている価値がない」と感じてしまうからです。ある社会Aから締め出されて、社会Bにうまく所属ができればいいですが、どこの社会にも受け入れられずに万策が尽きると、心も体も壊した挙句に人は生きることをやめてしまいます。

人や社会に無視されるという状態は、私たち人間にとって生存の危機なんですね。だから無視がこんなにもつらいのです。

|無視する人の心理とは

無視をする人の心理は人それぞれです。

しかし、傾向がないかと言えばそんなこともありません。ここでは職場や友人関係ではなく、距離が近く親密な中で起きる家庭内での無視をする人のよくある心理をお話しします。ちなみに、これからお話しする無視の心理は、私が提唱している「無視の5段階」に基づきお話をしています。

外的な要因がない状態で特定の相手との間で起きる無視は、基本的にエスカレートしていきます。

中には読んでいて耳が痛いと感じる内容もあるかもしれませんが、悪循環から抜け出すためにも、ぜひご自身の状況がどの段階に当てはまりそうか考えながら読んでいただけたらと思います。人によっては多少耳が痛いこともあるかもしれませんが、大事なのは「これから」ですからね!勇気をもってお読みください。

第1段階 困らせようと無視をする

たとえば夫が最近あまり妻にかまわなくなってきたとします。そんな時に妻は普段だったら「ねえねえ」と積極的にアクションを声をかけていたかもしれませんが、それが通用しないことがわかり、逆に無関心を装うかもしれません。

「私はあなたに興味はありません」
「あなたの呼びかけには応じません」

そんな態度をすれば、夫は動揺するかもしれませんね。

つまり、相手の注目や関心を引き、同時に相手との駆け引きに勝つための目的を持った無視のパターンですね。

第2段階 傷つけようと無視をする

たとえば夫婦で言い合いになり、いつも夫が負けるとします。夫の意見はいつも通らず、妻の意見が通って夫はいつも我慢をする。

「なぜ私の気持ちはわかってもらえないんだ」
「なぜいつもこんな思いをしなくてはいけないんだ」
「なぜいつもこんな理不尽に責められなくてはいけないんだ」

夫がそう思うようになれば、言い合いをしても負けるのは目に見えていますから、言葉で戦うのをやめてとにかく無視をすることで相手にこちらの気持ちを分かってもらおうとしたり、妻に傷ついてもらおうとするかもしれません。

つまり、相手への復讐を目的とした無視のパターンです。

第3段階 思考が停止していて無視のように見える

ご相談の中には、自分の意見が相手の理解の範疇を超えていて絶句している場合も見られます。俗にいう「言葉を失った」状態です。

あまりに非論理的な意見、非道徳的な価値観をさも普通であるかのように押し通してこられたとき、人によっては言葉を失ってしまうこともあります。

「ん?…どういうこと…?」
「え…?」
「なんと返そう」

こちらから見たら何もリアクションが返ってこないため、まるで無視されているかのように思いますが、もしかしたら自分が言っていることが相手の理解を超えていて困惑しているのかもしれません。もしくは、一度冷静になって振り返り、自分が自分の感覚だけで私的な論理を相手にぶつけていないか振り返ってみるのもいいかもしれません。

第4段階 話しても無駄だから無視をする

こちらは③で紹介した無視のパターンとも大きな関りがあり、あまりに一方的な意見を相手にぶつけたり、相手の意見を聞き入れなかったり、こちらに非があってもそれを認めずにすべて相手のせいなどにしていると、相手は「お話ができない」と判断するようになります。

相手が割に積極的で行動力のあるタイプでしたら口げんかになるかもしれませんが、相手がそこまで積極的ではなく、かつ行動的ではないのなら無視を選択するでしょう。

この段階では、まだ普段は変わりなく接していますが、何かアクシデントが起きて雲行きが怪しく感じられたら無視のモードに入ることが多いようです。

第5段階 関わらないために無視をする

この段階は最終段階です。

アクシデントが起きる起きないにかかわらず、何も起きていない普段の状況でも口をきかずに無視が続いているなら、相手はあなたと関わらないことを決心しているのかもしれません。理由は人によって様々ですが、何らかの理由で「もうあなたとは関わらない」という態度を表現していることは間違いありません。

別れるためなのか、家庭内別居をするためなのか。とにかく「あなたとはもう関わりません」という意思表示の場合があります。ここまで来ますと修復は難しいかもしれません。相手は固く心を決めている場合が多いですので、離婚や別居などを検討したほうがお互いのため、そして自身の心身のためになるかもしれません。

ただ、自分のこれまでのコミュニケーションが原因なのであれば、まだ修復できる望みはあります。自分の課題を見直し、謝り、説得し、改めていくことで関係性をやり直すことができるかもしれません。

|無視で悩んでいるのなら

いかがでしたでしょうか?今回は家庭内で起きる無視の心理についてお話をさせていただきました。

人によって無視をする心理はその時の状況によってさまざまな段階が考えられます。もしあなたが今現在、お相手の無視で悩まれているのなら、まず相手の無視がどの段階に当てはまりそうかを考え、普段の二人のコミュニケーションを1週間ほど観察してみてください。

おそらくそれだけでも見えてくるものがあると思います。

それでも糸口が見えなかったり、もう限界!ということであれば、まずは気軽にメールください。
一緒に今の状況を見直し、一刻も早く心が軽くなることを目指して動いていきましょうね!

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